「子守」との戦い、そして舞台。


本番の衣裳は、赤い藤の花が一杯の派手派手浴衣(笑)
でもれっきとした「藤間流おそろい浴衣」です♪


踊りには、どうしても「その人にあった風(ふう)」というものがあります。
その人が生まれつき持っている雰囲気、顔つき、体型・・
そういうものが「合っている踊り」というものがあります。




この「子守」は、そういう意味で、私の風にまったく合っていない踊りです。




「『子守』はどう?」
師匠からこのお言葉が出た時、私は心から嬉しくて
「え?!『子守』?!やっていいんですか?!わあっ!やります!」
とはしゃいだことを覚えています。



実は名披露目の演目を「清元の演目にしよう」ということになったとき、
私が「子守はだめなんですか?」とおききしたところ、
「子守はだめ!」と師匠に言われたのでした。


「あんたにまったく合ってないから、だめ。」
そうして、名披露目は「文売り」になったのですが・・・



絢也:「でも先生、『子守』は私の風に合ってないんですよね?」
師匠:「うん。合ってないよ」
絢也:「でもやっていいんですか?」
師匠:「うん。浴衣浚いは、勉強だから。やっていいでしょう」




勉強。




そう、これは「御見せする」というよりは「勉強」だった・・・
とは言うものの・・・



「舞台の上で踊る」のだから、
「舞台で踊るため」のお稽古になるわけで・・・





2月に始まった「子守」それからの6ヶ月。


「舞台の上で『子守』を踊るための御稽古」はまさに、
私にとって戦いの日々となりました。



「合っていない踊り」を、人様に披露するということが、
一体どのくらい大変なことなのか、私自身、自覚がないまま、
「ただ、子守を踊りたい」という情熱だけでお稽古は始まりました。




振りを入れている間は・・・・
ただ、ただ、ひたすら、楽しくて楽しくて。
「なんて楽しい踊りなんだろう♪」と
ウキウキワクワクで振りをどんどん覚えていきました。


どんどん覚えて、ついに、最後まで覚えて。


一度、そこで、「覚えたてホヤホヤ」の状態で
ほとんど止められず、自由に踊らせていただいたことがあります。




「ひゃ〜〜たまらない♪なんて楽しいんだろ♪(^^)」




しかし・・・・・・・・・・



ここから、長い間、
お稽古場で心の底から、
「なんて楽しいんだろう」と思うことはなくなります。




本番の直前の直前の御稽古までの数ヶ月。


私はひたすらひたすら、戦う日々を送りました。


いろんなガマンと、いろんな苦しみと、いろんな悩みと。




考えて、動いて。
考えて工夫して。
考えて、失敗して。




泣いたことも・・・あります。



その戦いが終盤にきた、本番間近の御稽古のとき。



師匠から、
「動いて!もっと乗って!明るく踊って!」
という指示が出ました。




動いて!
乗って!
明るく!




不必要に動きすぎるクセをとるために
抑制を重ねてきたお稽古の最後に。




師匠は私に「動きを開放」
することを指示なさったのです。




教わっている私が言うのもなんですが、
師匠のご指導方法はいつもながら本当に素晴らしいです。




そのおかげで、舞台の上で
私は心底楽しく
この踊りを踊ることが出来たのです。






あれだけ苦しんだ結果。
最後に、舞台の上で楽しさを爆発させられたことは
私にとって、非常に貴重な経験となりました。





克服できなかったこと。
どうにもならない「自分の今」と向き合う苦しさ。
これからの自分の取り組み・・・



いろんなことを突きつけてくれた、この「子守」。




「子守」と出会えてよかった。


心の底からそう思います。




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