相模蜑のお稽古中名語録

長唄「相模蜑」のお稽古で師匠が仰った言葉を
過去のお稽古日記から引っ張ってきてまとめてみました。
(日記は流れていってしまうので、ここにしっかり残します)

今後末永く踊っていく私にとって、宝物のような言葉の数々。
いつでも見られるように。忘れないように。



あなたはね。
背が高いから。
悪いところが、すごく目立っちゃうの
大きい人の宿命だからね、これは。
でもね、それを克服するためのお稽古でしょ?
その分、上手くできるようになれば、
いいところも目立つんだから



流れに乗って踊ること
しっかり身につけて欲しいの。

 あなたは、お稽古の途中で自分が失敗した、と思うと、
 自分で踊りを止めちゃうことがあるでしょう。

 僕言ったよね。
僕が止めない限り、絶対に自分で止めるな!って。

 舞台の上で、『あ、失敗した』って時に
 あなた、止めるの?

 『途中で止めてもらいたい』っていう気持ちは捨てなさい。
 
 流れに乗ることを覚えないと、
ぶつ切りの踊りになるぞ。




肩が綺麗に落とせないことにとっても悩んでました。
体型的に私はいかり肩です・・。
「あせりなさんな。
腰のこと、考えて見なさいよ。
そういう風に腰入れて、踊れるようになったのって
なんか、理由とかきっかけがあった?

ちがうでしょ。お稽古を繰り返す中でいつの間にか
見つけたんでしょう?
そういう風に、肩のこともちゃんと見つかるよ。

ただし、漫然とやっていても見つからないよ。
工夫していかないとね。

ぐっと力を入れなくても、肩が落とせるようになるコツが見つかるよ。

こればかりは、僕にも教えられない。
肩を落としなさい、としか言えないから。
体型は変えられないし。

どういうふうに落とすか。
自分の工夫しか、ないんだよ。

僕も、あなたも、なで肩にはなれない。
でもなで肩に「見せる」ことはできるわけだから。

見せる方法を、がんばって、見つけていく、ってことじゃないかな。」



おこつき。本当に難しい。

「見る、そっちへ行こうとする、おこつく。
これを1.2.3ってやるんじゃないよ。
もう0てん何秒もないくらいの
微妙な間でその流れをやるから、
意味があるんでしょう?
ただいきなりおこついたら意味がないでしょう?」





手鎌という小道具。刃物系小道具は初めて・・。
「だから、それじゃ、あなた、自分を刺すって。
チャンバラ(殺陣)やってたんでしょう?
刃の向き、チャンバラで、どうしてた?
自分を傷つけないように持つだろう?
まったく一緒だよ?





「・・・・・・・・って言うとさ、あなたは
『やってるつもりです』って言うんだろうけど、さ。

でもね。『つもり』は、何にもやってないのと同じだからね。
表に見えなければ意味がないんだからね。





「ここからだよねえ。ここからが大変なんだよ。

 だって、あなたは
 振りは完璧に覚えてるし、
 技術的な動きは全部あってるし、
 音はしっかりとらえてて、間も合ってるんだもん。

 ここからなんだよ。
 ここからが、なあ。大変なんだよなあ。
 全部、合ってる、っていう、ここんところからが。

 漫然とやってたら、このまんまになっちゃうからね。
 だって、ある意味では
 『できちゃってる』んだもの。」




役ってのをちゃんと理解してね
同じ『おすべり』『怒る』『捨てる』でも
相模蜑と幻お七じゃあ、手順は同じでも
表現が全然違うからね。

日本舞踊ってのは、パーツは少ないだろ?
でもさ、各パーツに無限にバリエーションがあるんだよ。
だから、面白いんだよね」





「可愛くない」のアメアラレ・・。よほど可愛くないらしい・・。
「可愛くないなあ。
ねえ、女郎じゃないんだよ?
この人も娘さんだからね。まだ若いからね。
踊りが老けてるよ。

首、もーーーっと寝て寝て!!
後姿だから、余計にうんと可愛くしてくれないと、
見てるほうはなんだかわかんないよ?
もっと可愛く!可愛く!

首振るとき、そんな
パキっと決まらないで。

ふわっと。最後は、肩をふわっと
そうしなきゃ可愛くないよ。」





自分の欠点に気がつくのはいいことだけれど、
その場所が近づくと『ああ。。もうじき苦手なあそこだぁ』ってなって、
踊りが萎縮するのは危険なんだよ。」




最後に
私の心にものすごく残った言葉。
これからも、毎回のお稽古でこの師匠の言葉を思い出したい。

「今日の、このお稽古は、
今日のあなただったから
できたの。」



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